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ゲーム二次創作ブログ。ポケモソ擬人化など。たまに脚本も。
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重量を思わせるその足音が、深く体の芯へと響いた。
それは大地の鼓動であるかのように、ゆっくりと、一定の規則を乱さずに。

彼は歩き続ける。

その視線の先は、誰が知ることもない。
もしかしたら彼自身も知らないのかもしれない。
ただただひたすらに。

彼は歩き続ける。

「ずいぶんと、健脚ね」

左前足に寄り添うようにして歩く、白い少女の呼びかけに見向きもしないまま。

ラオシャンロン。
老山龍の牙に捉えられた、真っ赤な花が風に揺れた。


+++花束


古龍の中でも群を抜いて、その行動は謎に包まれている。
害をなすことなく、まして人間になど目もくれず。
ただ唯一、自らが歩く道を塞ぐものが現われたときのみ、その力が奮われる。

それがラオシャンロン。
異国の言葉では老山龍と表わされる。

その文字が紡ぐイメージというものは、決して間違いではないだろう。
自分の意思を曲げぬ、頑ななまでの古老。
純粋に、ひたむきに。
それは生を受けたその時から、死へと走り始める命の姿とも似ている。

ラオシャンロン。
老山龍の牙に捉えられた、真っ赤な花が風に揺れた。

「その花」

少女が、山のように巨大な龍を見上げて問う。
彼の視線だけが、ちろりとこちらを向いたような気がした。
無人となった廃墟を抜けて、その歩は荒れ果てた野へと向かう。

「気に入ったの? それとも、誰かへのおみやげ?」

ドスビスカス。鮮やかな色彩を放つ大輪の花。
優しくくすんだラオシャンロンの龍鱗を背景に、ひと際輝かしく映える。
太陽が降り注ぐ温かな地に咲いた、それはまるで宝石のような。

彼はそれを、美しいと感じて摘み取ったのだろうか。

「きれい」

少女の声が、風に吹き上げられた。

重量を思わせるその足音が、深く体の芯へと響いた。
それは大地の鼓動であるかのように、ゆっくりと、一定の規則を乱さずに。

彼は歩き続ける。

「ずいぶんと、健脚ね」

左前足に寄り添うようにして歩く、白い少女の呼びかけに見向きもしないまま。

視線を外し、遥か行く先へと目を向ければ――――砂原に巨大な山。

否、そう錯覚しただけである。
恵みを失ったその大地に、陽光のもと白く光る、眠るように横たわっていた龍骨。

骨格とわずかに残された鱗から、その白骨の主が今この地に踏み入った古龍と同じ種だと見てとれた。
戦いの傷により倒れたのか、それとも寿命か。
確かなことは分からないが、遥か昔、一匹のラオシャンロンが此処で息絶えたのだ。

山かと思われるほどの、大きな死骸――――生きていた証として、自らの骨を遺して。

重量を思わせるその足音が、深く体の芯へと響いた。
それは大地の鼓動であるかのように、ゆっくりと、一定の規則を乱さずに。

彼は歩き続ける。

ただ、ひたすらに。

その龍骨を目指して。

そうしてたどり着いたかと思うと、ゆるりと彼の口が開き、ドスビスカスの赤が躍るように落下していく。
ぱさ、と乾いた音とともに、それはゆっくりと、骨の上に。
頭蓋から聳える角の付け根を飾って、全ての色を失った空間が、微かに息を吹き返したかのような。

白骨を眺めるラオシャンロンの瞳は穏やかで。悲しげで。とても、愛おしげで。

ああ、愛していたんだろうか。
白い少女は思った。
かつて、彼はこの龍を、愛したのだろうか。

純粋に、ひたむきに。
生を受けたその時から死へと走り始める、命の姿と同じように。

ゆっくりと、ゆっくりと、ラオシャンロンの体が傾いだ。
光る白骨に寄り添うようにして、彼は眠るかのように身を丸める。

「寝てしまうの?」

少女が訪ねた。
初めて、彼の瞳がしっかりと白の姿を捉え、そして一つだけ瞬きした。

「それとも」

全てを、悟った。
長い年月を重ね硬くなった鼻先に、彼女は優しく手を置いて、じっとその姿を見つめ続ける。

「死んでしまうの?」

古龍の中でも群を抜いて、その行動は謎に包まれている。
害をなすことなく、まして人間になど目もくれず。
ただ唯一、自らが歩く道を塞ぐものが現われたときのみ、その力が奮われる。

それがラオシャンロン。
異国の言葉では老山龍と表わされる。

その文字が紡ぐイメージというものは、決して間違いではないだろう。
自分の意思を曲げぬ、頑ななまでの古老。
純粋に、ひたむきに。
それは生を受けたその時から、死へと走り始める命の姿とも似ている。

その場には白骨と、横たわるラオシャンロンと、長く続く少女の足跡だけが残された。

空から注がれる光が眩しい。
たまらなく暑いはずなのに、何故か感じられる全ての感覚が、愛おしくてたまらない。

鼓動が徐々に遅くなっていく。

彼が落とした赤い花は、果たして誰に対しての手向けだったのか。

ゆっくりと瞼が落ちていく。
彼の脳裏に蘇るのは遠い昔の世界と、龍のいななきと、――――透き通った少女の声。

“きれい”

心の臓は動きを止めた。
すでに瞳は硬く閉ざされて、もう二度と開くことはなく。
一対の龍はいつしか砂となり大地となり、やがては連なる山脈となるだろう。

長い時を経て、やっと。
――――会いに行く。

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