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ゲーム二次創作ブログ。ポケモソ擬人化など。たまに脚本も。
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断末魔は突如として、鬱蒼たる密林の空気を切り裂いた。

突き立てられた太刀を振りほどこうともがくリオレイア。
させるまいと、さらに奥へと刃を進める一人の青年。
腹を抉った紅い剣は、生き物の血で更なるアカへと身を染めた。

揺らいだ巨体。
ふらついた飛竜の足元。

瞬間、太刀をずるりと引き抜いて、彼は頭上へと振りかざし――――……

――――斬。
頭部を切りつける。真っ二つに。
落ちる血液と割れた頭蓋。

ゆっくりゆっくりと傾いて、高貴たる雌火竜はずしゃりと地面に崩れ落ちた。
じわじわと熱を失う若緑の死体の前に、青年の呼吸と心臓の音がいやに大きく聞こえる。

幾度と味わっている感覚であるというのに、この大がかりな駆逐に慣れる気配がまったくない。

大きく息を吐いて、青年、タスクは“飛竜刀・楓”を地面に刺した。
鶯色の瞳は努めて冷静に据わっていて、しかしその肩は荒い息と共に上下している。
乱暴に腕の防具を脱ぎ棄てれば、浮かび上がる火傷のあとが痛々しい。

右手で太刀に寄りかかり、左手を腰のポーチに手を伸ばす。
陽光に透きとおる緑の液体が入った瓶を取り出して、蓋をあけ、ぐびりぐびりと三口飲んだ。

と、同時か否か、焦げるような音を立てて火傷が消えていく。
“回復薬”と呼ばれる所以は伊達でないのだ。
すっかりと元の形状を取り戻した腕の皮膚から、リオレイアの凄絶な死顔へと視線を移して、タスクはぽつりと呟いた。

「ごめんな」

でも、仕方ないんだよ。

もう一度、今度は風に掻き消えてしまうほどのか細い声で、ごめんなと言う。
次に彼がポーチから取り出したのは古びた無線機で、見かけよりもまだ機能するそれのスイッチを入れた。

「依頼完了。村に甚大な被害を出していたリオレイアは退治した。これより帰路につく」

簡潔に二言三言並べ、相手の返事を待たずに電源を切る。
一つ息をついて、もう一度飛竜の死骸を眺め、思いだしたかのように素材をはぎ取り始める。
剥ぎ取りナイフにへばりついた鱗をそっと指で捉え、握りしめる。

視線は地面に向けられたまま。

「何のために戦ってるんだか」

思いのほかその空間に響いたその問いに、タスクは自身で答える。

「……そんなの、決まってるんだよな……」

己が生きるためと。

それはすべての生物に共通する本能だ。
リオレイアが村を襲撃するようになったのも、その生存本能が故であろう。
他を喰らい、奪い、殺してでも。

“生きたい”。

身勝手で、あさましい。
その反面でその欲望はとても美しいもので、願うたびに思わず息が詰まるほど。

「なあ」

答えない雌火竜に、それでもいいからとでも言うように、タスクは微笑して語りかける。

「おれさ、普通に“さらりーまん”とかにでもなって、気楽に生きたかったんだ」

物語のように平和で、変わり映えのない退屈な日々に。
家族と笑いあって、友とふざけ合って、愛した人と触れ合う、そんな時代に。

「なんで、こんな世界になっちゃったんだろうな」

――――西暦××××年、飛竜列島ニホン。
かつての新種ウイルス蔓延による大絶滅を経て、動物たちはある突然変異を起こした。

巨大化変体化、それに伴う強力化。

中には特異な能力をもつモンスターまで現れ、世界各地でその猛威を振るっている。

炎を冠するもの。
水を制するもの。
雷を纏い、祖としてすべてを統べるもの。

――――人類とて、例外ではなかった。

通常の数倍強靭な身体をもつ者。
高度な技術と異質な力を以て、魔法のような効果をもたらす道具を開発する者。
彼らを総称して、新人類といった。

新人類たちは武器という名の力をもって立ち上がり、獣たちと対峙する。

モンスターを狩る者たち。
モンスターハンター。
その名は時に敬意を、時に畏怖をまとって人々から呼ばれていた。

「まるで、RPGみたいだ」

リセットもコンティニューも出来ない、それはまるで出来損ないのゲームだ。
悲哀のような自嘲のような笑みを漏らして、タスクは刀を鞘に収めて背を向けた。

「ゲームクリアは、いったいいつになるんだろうな」

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