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ゲーム二次創作ブログ。ポケモソ擬人化など。たまに脚本も。
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そこは灼熱の海だった。
見渡す景色すべてが、炎に呑まれ燃えていく。――――ハンターも例外ではない。
纏った防具ごと焦がされていく。
髪が。皮膚が。肉が。

悲鳴。
熱い。
悲鳴。
悲鳴。

 ア ツ イ

地獄の業火とも紛うほど。
猛り狂う赤。
熱風と苦痛の中で彼らが見たのは、炎の揺らめきに照らされて輝く、薄紅の竜鱗。

リオレイア亜種。

人は彼女たちを“桜火竜”の愛称で呼ぶ。



――DeuxLame―― "Mere"



最初に出会ったのはいつだったか。
確かあれは、彼が十歳の時だ。
父に背を軽く押されながらやってきたのは、天使かと見紛う程の美しい少女。
無遠慮にその姿を眺め続ける彼の瞳をまっすぐに見つめ、彼女は自分の名を告げた――――……

“私は、”

「、いて」

突如感じた痛みに意識は浮上した。どうやら懐かしい夢を見ていたらしい。
何故今さらと考えることもなく、黒髪の男、ハーヴェイは長い溜め息を吐いた。
垂直に傾いた視界。横になった体。右頬の柔らかい感触。
左耳の中を探る硬いもの。

「……で、だ。何やってんだライア」

おおよそ察しはついているものの、彼は今借りている膝の主を振り仰いで問うた。
出会う銀色の瞳。
薄暗い照明の中でも存在感を失わない、たっぷりとしたハニーブロンドの髪。
大理石の彫刻のごとき顔立ちはいっそ無機的だが、ほんのりと色づいた頬が彼女の命の熱を示している。

ライアは、ハーヴェイが出会った女性の中でも最も美しい部類に入る。
首をかしげてこちらを見返す様は、何とも魅力的で抗いがたい。
大抵の男ならこの美貌の前に膝を屈し、その心を得るために媚びへつらうだろう。
残念ながらハーヴェイは、その大抵の男の内に入っていないのだが。
高慢かつ優雅に、ライアが口を開いた。

「分からないのか? 耳掃除だ」
「…………やってくれんのは嬉しいけどな、寝てる間に奇襲的にやるのやめねぇ? てかこれ何回言った?」
「こういった小さなことをサボるからお前はぼんくらのままなんだ。耳掃除くらい定期的に……ああ、ほら、こんなに耳かすが」
「いででででで!! 刺さってる刺さってる、奥の方まで刺さってる!!」
「ふふっ」
「わざとかテメェ!?」

ひとしきりごりごりと耳の中を漁られたあと、ハーヴェイはひりりと痛む両耳を押さえながら起き上がった。

そこはギルドの集会所の一角である。
様々な防具を纏ったハンターたちが、先に狩った獲物や自分の腕になじんだ武器の自慢をしたり、どの依頼を受けるかなどを話し合ったりしている。
声のさざめき。けたたましいこと限りないが、耳に心地良いのも事実だ。
ぐ、と伸びをすると、彼の長身がさらに目立つ。
そうしてふと辺りを見回したそのとき、伝言係のアイルーが集会所へと飛び込んできた。
ひどく慌てた様子である。何か緊急だろうかと思いながら、ハーヴェイはぴょんぴょんと跳ねるその尻尾を何ともなしに眺めた。
灰トラの毛皮が、二人が座るテーブルの側を駆け抜けようとして。

――――伸びる細い腕。

「ご苦労」
「にゃーん!!」

アイルーの小さな体躯はライアに掴まれ、いともたやすく宙に浮いた。
短い指から一枚の紙を奪い取り、ハーヴェイの方へとアイルーを放ってくる。
あの慌て具合がライアの好奇心に火をつけてしまったのだろう、彼女は早々に文字を目で追い始めていた。
突然のことに自失しているアイルーの背を撫でてやりつつ、ハーヴェイは諦め故の悟りの境地へと足を踏み入れ始めていた。

「リオレイア亜種……? 懸賞金が上がっているようだが?」

机に頬杖をついてもたれ、依頼書をひらりと指で弄びつつライアは視線をアイルーへと向けた。
そこでアイルーははっと大きな目を見開き、ハーヴェイの膝の上に座り直す。
案外ひどい扱いを受けたのに律義に質問に答えるところは、アイルーの良いところだと常々彼は思う。

「とんでもなく凶暴な奴らしくて、もうハンターさんたちが五組やられてるニャ」
「五組もか……」
「でも死人が出なかったニャ、奇跡だニャ」

ふむ、と相槌を打つと、ライアはもう一度依頼書をじっくりと眺め、“リオレイア亜種討伐依頼”の文字を指でなぞる。
あの白魚のような指が身の丈ほどの太刀を振るって怪物たちと渡り合うのだ。詐欺もいいところである。
……ふと思うことがあって、ハーヴェイはぽつりと声を漏らした。

「この時期に、桜火竜……?」

ライアの瞳がこちらを捉える。

「どうした?」
「いや、リオレイアの亜種ってーのは、冬の間はあんまり姿を現わさないんだよ」

彼女たちが猛威をふるい始めるのは春の初め、桜の時。
その翼の色に似合いの季節だ。
原因は分からないが、そのことは生態調査からも明らかになっている。
何故か防具にじゃれつき始めたアイルーの相手をしてやりながら、ハーヴェイは前髪の奥で眉をひそめた。
同時に黙り込んだ彼女の瞳は理知の輝きを纏って、彼の言葉を待っている。

「リオレイアが凶暴化してるのと、何か関係があるのかもしれないな」

一瞬伏せった彼の蒼の双眸が前を向いた。その視線を受け、ライアは依頼書を机に起くと滑らかな動作で立ち上がる。

「その依頼、私たちが受けよう。文句はないなハーヴェイ?」
「あっても黙殺するくせに…………あーっ、わかったわかった、何もありません!!」

首に太刀の白刃を押し付けられ、ハーヴェイは大声を上げた。
満足げに頷いたライアを恨めしげに眺め、ぶちぶちと小声で悪態をつきながら立ち上がる。
実はまだ腕にアイルーがぶら下がっているのだが、変に引きはがすのも何なのでそのままだ。

「ところで、お前メスか?」

ライアがその様子をまじまじと見つめながら聞けば。

「そうですニャ」

アイルーが答えた。
この小さな生き物は皆一人称が僕であるため、しかも声のトーンも話し方も一緒であるため、話しただけでは性別の判断がしづらい。
肩辺りに腰を落ち着けてしまったアイルーとどうしたらいいものかと顔をしかめるハーヴェイとを交互に眺め、にやりとライアが笑んだ。

「もてる男は大変だな」
「この調子で可愛くておとなしい女の子が寄ってきてくれればいいんだけどな……」

自分が何故か動物の雌に好かれることは知っていた。
ただ、その“動物”の中に“人間”が含まれないだけで。
顔半分を覆う前髪は、どうやら女性には不評のようだ。
率直な心情を述べたところ、ブロンドの美女は小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。

さて準備をしたものは、回復薬、こんがり肉、ペイントボールにシビレ罠、もしものためのモドリ玉――――……
密林へと向かう馬車の中で荷物を確認する。
途中襲ってきたドスランポスをぶん殴って撃退したライアに心底恐怖を覚えつつ、向かうのは問題のリオレイアが潜むエリアだ。

――――……焼けただれた大地。

火と煤の特有の臭いが鼻を刺す。赤黒い煙がもうもうと立ち上り、くすぶる火の粉がぱちりと音を立てた。
生々しいまでの戦場の跡のように。
ここは、本当に密林のエリアなのだろうか。否、――――だったのだろうか。
深緑を放つ木々は辺り一面、炭と化してしまった。

「こりゃ……ひどいな」
「よく見ておけ、これが将来のお前の髪の様子だ」
「ってお前この状況でそんな、」

きぃん、と。
太刀を抜くとき特有の澄み切った音に、彼は口をつぐんだ。
凛と見据える彼女の視線の切っ先は、真っ直ぐに、前へ。
愛らしい唇が、艶然と弧を描いた。
さながら獲物を狩る雌虎。
文字通り“竜虎対決”だなと。
そう思いながら、ハーヴェイも片手剣を抜いた。

リオレイア。
吠える桜色。

瞳孔に炎をたぎらせ、ずらりと並んだ牙を剥く。
翼を広げれば熱風が轟と音を立て、ハーヴェイたちの皮膚を熱くした。
水分という水分が蒸発してしまいそうだ。
まとうは怒気。凶暴なまでの眼光。

「初っ端メチャクチャ怒ってらっしゃる……!!」

口を開けば喉の奥まで乾き切る。
軽く咳き込みながら、ぞくりと背筋に走った本能の警告に従って横っ跳びに地面へと転がった。
瞬間、真横をかすめた熱の塊。
火球は通常よりも甚大な威力だ。当たればひとたまりもない。
――――先のハンターたちはあの炎に焼かれたのだろうか。
ちらりとよぎった考えを、頭を真横に振ることで追い払った。
その先まで考えてしまえばきっと恐怖が芽生える。

“ハンティングの最中に恐怖は要らん”

いつだったか明朗な声で言い切ったのは、他でもない、すぐ目の前を駆け抜けるブロンドの乙女。

「覇ァ!!」

気合一声。
太刀は白い光の一筋となって、飛竜の首を捉えた。
金属音。
竜の鱗は鋼の硬さに等しく、よって簡単に斬ることは出来ない。
知っているからこそ、連続の斬撃を与えることで鱗をだんだんと剥いでいく。
一閃。
二閃。
三閃。
四閃。
強力かつ迅速。
鬼の舞のようでもあるし、美姫の奮迅のようでもある。
舞い散る鱗の断片は桜の花びらにも似て。

一方、リオレイアとておとなしくしているわけではない。
優美な体を凶暴にうねらせて、爆炎を放ち猛る。
咆哮。
白刃から逃れたと思えば、驚異の速さで攻撃へと転ずる。
鋭い爪がライアを捉え――――……
髪一房が散った。
炎の光を受けててらてらと輝きながら、地に落ちる。

「――――……貴ッ様……」

低い声音と共に吹雪が起こった。否、そんな印象を受けただけだ。
鎧の胸辺りには亀裂が一筋走っているが、身体にまでは爪が届かなかったようである。
銀の瞳に憤怒を孕み絶対零度の殺気を秘めて、今度はライアが咆哮した。

「よっくっもっ、私の髪を……!!」

怒りどこはそこじゃねぇだろ。
心の中で尤もなツッコミを入れつつ、ハーヴェイは軽い動作でペイントボールを放った。
ライアが気を引いているうちに、なるべくリオレイアの近くに置いた大タル爆弾G。
ピンク色の球は弧を描いて、ちゃちだが威力確かな爆発物へと落ちていく。
自らを以て引き金となるために。

――――爆発音。

「うっし、たーまやー」

爆風は飛竜の翼を焼き、かの桜火竜を絶叫させた。
のけぞる首に向かってライアの肢体が跳躍し、――――必殺の蹴りを叩きこんだ。

――――ギィィァァァアアウ――――!!

鈍い痛みに叫び、巨大な体躯を奮わせてライアへと突進する。
腕を交差させガード。
防具がみしみしと悲鳴を上げて砕けていく。
がっしりと組み合ってにらみ合い、お互い一歩も譲らない。
ライアが殴る。
リオレイアが体当たりする。
人間の女同士の、もしくは飛竜のメス同士の喧嘩だったら、さぞ壮絶を極めたことだろう。
いや、今でも極めてはいるのだが。

「割って入りたくねぇー……」

男性代表としてハーヴェイが呟いた。
もはや刀も爪も牙も使っていないその肉弾戦を呆然と見守り、そんな場合ではないと再度頭を振って、もう一つ爆弾を仕掛けようと盾を構える。
ぱきり。踏んだ枝の炭が音を立てて割れた。

ぐるりとこちらを向いた、リオレイアの獰猛な双眸。

「げ、」

――――アアアアアアアアアアアア!!

途端、これまでにない勢いで飛竜の巨体が躍りかかってきた。
地獄の底から這い上がってきた地中の怪物のごとき形相。
迫る鈍色の牙。
衝撃。
痛覚。

「あぐ……ッ!!」

頭部の一撃を喰らって、ハーヴェイの長身が吹き飛んだ。
が、頂点で体をひねり柔らかな動きで着地する。
こみあげる熱いモノ。
べっと唾を吐けば、血が混じって赤に染まっていた。

「ハーヴェイ!」
「大丈夫だ、攻撃続けてくれ!」

しかしリオレイアの敵意は彼に向いたままだ。
至高の相手として対峙していたライアには、後ろを取られていようと見向きもしない。
牙、爪、翼から尾まで、炎をまとった体を武器として、一撃一撃を鋭く打ちつけて来る。
盾を片手に防ぎはするが、反撃の糸口も見つからない。

「俺をライアと一緒にするなよ……ッ!」
「それはどういう意味だ?」

目の前に広がる、ハニーブロンド。

「お前の相手は私だ、リオレイア!」

太刀の一振り。
斬、と白刃は右角を捉え、真一文字の傷を刻んだ。
ハーヴェイを背に、彼女は凛と刃をかざす。

「私の犬に手を出すことは許さん」
「犬!? 俺、犬!?」

その場にそぐわない絶叫をあげつつ、ハーヴェイは素早くリオレイアから距離を取り――――は、と目を見張った。

「ライア!! 退け、いや動くな、足元!!」

支離滅裂な内容の大声をあげる。
訝しげに眉をひそめたライアは、とりあえず最後の言葉に従って足元にちらりと視線を走らせ、ぎょっとしたように跳び退った。

どこまでも金色で、どこまでも天真爛漫な、二対の大きな瞳。

同時にリオレイアが、今までライアが立っていた場所へと降り立った。
覆うように翼を広げ唸り声をあげる。
――――桜色の下に仔竜が二匹。
今までの闘いなど気にもかけないように、無邪気にじゃれあっている。

「……繁殖期、だ」

ハーヴェイが絞り出すように呟いた。

長く、飛竜たちの生態は謎に包まれていた。
最近になってやっと調査が進み、モンスターたちの出没地、出没条件などは絞り込むことができるようになったのだが。

「繁殖期?」
「たぶんな。普通は人目につかないとこで産卵するもんなんだが……」

威嚇するリオレイアの足元を指差し、彼は続ける。

「見てみろ、子供が二匹いるだろ? 竜っていうのは一度に産む数は一体……人間と同じなんだ」
「では、あれは双子か?」
「体内で卵が二つ出来てたんだな。そんだけ腹も重くなるし、母体への体も大きくなる」

ライアが一つ瞬きした。

「産気付いたはいいが巣まで辿り着けず、ここで産むしかなかった……ということか」
「そのとおり」

季節はずれの出没も、凶暴化したのも。

すべては、未だ立つことも羽ばたくことも出来ない子供たちのため。

ここで下手に攻撃をしかければ仔竜たちにも危害が及ぶと分かっているのだろう、牙を剥く彼女の顔は、子供を守る母親の顔そのものであった。

タイムオーバーは刻一刻と迫ってくる。
しかし今さら攻撃する気にもなれず、ただただ呆けたまま、ハーヴェイは桜色の鱗を眺めていた。

――――鎮。
静かな音と共に、ライアの太刀が鞘へと納まって。
瞬間、彼女は武器を投げ捨てた。
刀はふわりと宙を舞い、けたたましい音をたてて地面へと落ちる。

時が、刹那、止まった。

「ライア!」

そのまま歩み寄っていく彼女の背に声を投げかけるが、一瞬振り向いた銀色の瞳が「静かに」と横柄に物語っていた。
彼女の目があまりに穏やかで、思わず駆け寄ろうとした足も止まる。
リオレイアも異変を感じ取ったのか、視線だけは油断なくライアへと向けたまま、さらに身をちぢ込ませて。
その下で、二匹の仔竜が笑った。

「可愛い子供たちだな」

そっけない、しかし温かな声。
防具が割れて白い肌が露出した腕が、飛竜の鼻先へと回復薬を置く。

「すまなかった」

そうしてライアは無防備に踵を返した。
その足はベースキャンプを目指し、確実にリオレイアから歩み去って行く。
途中で太刀を拾い上げ、ついでにハーヴェイの首根っこを掴み上げ、ずるずると引きずった。

「ぐ!? 締まってる、締まってるっつの!!」
「ん、ドンマイというやつだな」
「おいコラ!! てかいいのかよアレ、ぐえええぇぇ」

騒がしく去っていく侵入者たちを、三対の瞳が見ていた。
やがて完全に姿を消した彼らに向かって一つ吠えると、桜火竜は足元で転げまわる仔竜たちの鱗を舐め上げて。
見慣れない生き物が置いて行った物に興味を示したのか、一匹の仔竜は回復薬の匂いをしきりに嗅いでいる。
よこせと言わんばかりに、もう一匹が体を引きずりながら突進する。
その様子を、母竜は瞳に微笑みを湛えて眺めていた。

「……で、どうすんだよ」

早々に馬車へと乗り込んでしまった相棒に、ハーヴェイは不機嫌な声で問う。
結局キャンプまで引きずられてきたのだ。機嫌も悪くなるというものである。
しかし当のライアは気にも留めず、どかりと腰かけて足を組む。

「どうもしない。強いて言うなら、ギルドに申し出てあの区域を一時閉鎖してもらう」
「……ずいぶん優しいじゃねーか」

にやりと口の端をあげながら指摘すると、彼女は怪訝そうに眉をしかめ。

「あそこまで木々がやられていては密林の生態系も危うい。しばらく人の手を入れないで放っておいた方がいい」
「へいへい、御大層なこって」
「蹴るぞハーヴェイ」

すでに跳ね上がっていた彼女の足は彼の脛を捉えており、それはとても痛かった。殺人的に痛かった。
が、なぜか頬が緩んでいだ。
お前はマゾヒストかと罵られたがそれも気にならず。

「……言ったところで、男には分からんだろうしな。母になった女の気持ちなぞ」

そう言って馬車から外を眺めた彼女の穏やかな横顔は、いつか見た風景と変わらない。
輝く瞳にはいつでも陽光が似合う。
ふと夢の続きを思い出した。それは懐かしい夢だった。

“私は、ライア”
“…………、ハーヴェイ”

名を告げた少女はにっこりと笑んで、彼の頭を撫でた。

「俺さ、今ほどライアが姉貴で良かったと思ったことねぇわ」
「褒め言葉として受け取っておくぞ、我が弟よ」

彼の腹違いの姉は、芝居がかった口調でそう返した。

ハンターズギルドには桜の雪が降る。
そんな噂が囁かれるようになったのは、その後のことである。
雪が解け始めるその季節、風に輝く桜色が舞った。
空を見上げれば三体の桜火竜が、何をするでもなく、ただ旋回しながら古い鱗を落としていく。

「飛竜って頭が良いだろ? 中には人間の言葉がわかる奴もいるんだとさ。あのリオレイアがそうなのかは知らねぇけど」

髪についた鱗を払いのけつつ、ハーヴェイが言った。

「自分の子供を褒められたってことだけは分かったみたいだな」

ハニーブロンドと桜色のコントラストは、見る者すべての心を奪う。
鱗の欠片に口付けて、風へと返したライアはやはり笑顔だった。

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プロフィール
HN:
瑠璃色
性別:
非公開
職業:
パートのおばちゃん
趣味:
演劇、絵描き
自己紹介:
演劇大好きパートのおばちゃん。
ポケモン、モンハン、ゴッドイーターなんかでゲームの二次創作。

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