忍者ブログ
ゲーム二次創作ブログ。ポケモソ擬人化など。たまに脚本も。
〓 Admin 〓
<< 11   2017 / 12   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31     01 >>
[42]  [41]  [40]  [39]  [38]  [37]  [36]  [35]  [34]  [33]  [32
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


俺と

お前は

確かに兄妹だったよ

拍手


「喧嘩なんて珍しいじゃねぇか」

少年の声とも聞き違えそうな、女声。
旭は思わず顔をあげて、後悔した。
何より愛しいその瞳を、今までどう覗いていたのかが思い出せない。
お夜、と。
その愛しい名前を、今までどんな声音で呼んでいたのかがわからない。
気を抜けば口から転がり落ちそうな言葉。

「……撫子と、少しな」
「よりによってあの男かい?何がどうなったらそうなるんだか、兄貴もあいつも若いこった」

無防備に、傷に触れる指は少しだけ冷えて冷たい。
冷たいはずであるのに、触れられたところから火傷をしそうな気がした。
熱くてたまらないのに心地よくて、永遠に触れていたかった。

何よりも大切で、何よりも大事にしてきた。
他の男に渡すまでと思いながら、他の男になど渡してたまるものかとも思っていた。
――――勝手といわれればそうだ。
それが旭に出来る唯一だった。
“兄”が“男”になど、変われるはずはなかったから。

「……お夜。覚えてるか」

震える声を抑えながら、ふとあの日を思い出した。

「何を」
「お前が後継ぎの話を蹴った日さ」

白い髪と、色素の薄い瞳。
極東の島国では、旭のその姿は滑稽と嘲笑われ、時に不吉と気味悪がられた。
実際に、異端だったのだ。
この容姿を好いてくれたのは、実家の鍛冶屋の親方と女将――――父と母。
そしてたった一人の妹だけだった。

本来なら長男が継ぐはずの家名。
しかし何故か、後継ぎと任命されたのは、夜の方。
こうなるだろうと思っていたのは旭の方で、激昂したのは夜の方。

「兄貴の形がこんなだからか! だから継がせはしないのかい!」

昔から、そうだった。
旭の容姿を馬鹿にするものがいれば、夜がその喧嘩を買った。
いくらなだめても、聞こうとしなかった。
敵に回るものすべて蹴散らして、旭の髪と瞳を綺麗だと褒めていた。

父と母でさえも、その意図を少しでも臭わせれば、夜は簡単に家を捨てたのだ。
――――異端の兄のために。

「……まだ気に病んでるなんて言ったらぶん殴るよ」
「気に病むなってぇ方が無理だろ。俺はお前から産みの親を奪ったんだよ」
「親の顔なんて、もう忘れたね」

ふいと背けられた横顔に、苦笑する。

「今となっちゃ、俺がお前の唯一の家族で……“兄”で、もっと言っちまえば敵なんだろうが、」
「兄貴?」

ほうと息を、吐いて、止めて。
赤い金魚。勇気を貸しておくれよ。
似た者同士の意地と共有を。
胸一杯に吸い込んだ空気。

心臓が、飛び出そうだ。

「俺が言っちゃならねぇことなのも知ってるし、そんな資格も持ってねぇことも分かってる、お夜、」
「兄貴」

夜半の満月のような瞳が、力強く旭を見据えていた。
決然とした態度で、拳を握って聞いていた。
引き結んだ夜の唇に、背筋の凍るような思いを、して。

「前置きが長ぇ男は、嫌われるんだぜ」

夜半の満月のような瞳が、力強く旭を見据えていた。

「俺が聞きたいのは、一言だ」

その言葉を、待っている。
待っていてくれたのかと。
気づいたときには細い体を、腕の中におさめていた。

「好いてる」

赤い金魚。賭けは俺の勝ちだ。
覚えていてくれるかい。
忘れないでくれるかい。
もしこの子に受け入れられたら、あんた天寿まで生きちゃあくれねぇかい。

俺もだ、と小さな声が耳朶を打った。



PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
11 2017/12 01
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
プロフィール
HN:
瑠璃色
性別:
非公開
職業:
パートのおばちゃん
趣味:
演劇、絵描き
自己紹介:
演劇大好きパートのおばちゃん。
ポケモン、モンハン、ゴッドイーターなんかでゲームの二次創作。

pixiv
→http://www.pixiv.net/member.php?id=1352019
piapro
→http://piapro.jp/ruriiro_pinky
twitter
→ruri0operaism

別館夢ブログ
→http://dreamdreamer.side-story.net/
瑠璃色が描いた絵を置くところ(モンハン)
→http://ruriirogallery.hanamizake.com/
最新コメント
ブログ内検索
Copyright(c) 無人島オペラハウス All Rights Reserved.* Powered by NinjaBlog
* photo by 空色地図 * material by egg*station *Template by tsukika
忍者ブログ [PR]